「スポットライト 世紀のスクープ」☆誠実さが突き動かす感動

ドラマチックに主人公をヒーローに仕立てることもできたでしょう。
かつてアメコミヒーローも演じた役者たちは、己のオーラを完璧に消し、「真実を暴くヒーロー」としてではなく、地道な努力で力を合わせ積み上げていく記者の一人となりきっていた。
その真摯な態度が、何よりこの映画の評価をアカデミー賞作品賞に押し上げたと言えるのでは?


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「スポットライト 世紀のスクープ」 公式サイト

<ストーリー>

新しく赴任してきた上司のバロン(リーヴ・シュレイバー)は早速チームに神父による長年にわたる児童虐待の事実を暴くよう命じる。
圧倒的権力を持つ巨大組織「教会」を相手に取材は難航。
裁判記録も隠ぺいされ、取材も拒否され、社の先輩からも難色を示されながらも、被害者からの悲痛な叫びに突き動かされてチームはついに・・・・


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誰もがひるむ教会のスキャンダルを暴くよう命じる新しい上司は、なるほどユダヤ人

パパンが「そんな教会のスキャンダルをよく映画にできたなぁ。監督がユダヤ人なんじゃ?」って聞かれたけれど、監督のトム・マッカーシーはれっきとしたカトリック信者だそう(!)

上司のバロン役のリーヴ・シュレイパーは、過去作品では結構『良い人そうに見えて実は…』的な役が多かったけれど、このひげ面でその印象を薄めているところが凄い!

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取材を進めるうちに次第に寝食を忘れてのめり込んでいくチームの面々

どうやって取材していったかが、まるでドキュメンタリーの様に克明に描かれている。
あまりに地味でいつもの私なら寝てしまいそうだけれど、それがちっとも眠くならない。
煽っているわけでもないのに、手に汗握りハラハラさせられ、全く目が離せなくなるから不思議。

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被害を訴え続けるが・・・・

この問題はなにも教会だけに起きている事ではないはず。
実際劇中も、学生時代に学校で虐待に遭った友人を取材したシーンなど、子供にとって強大な力を持った者から受ける精神的・肉体的虐待について問題提起されていて、この取材が本当に意味のあることだと実感させられる。

過去に受けた虐待の詳細を「言葉にすることすらできず涙ながらに『虐待』とひとくくりに表現する」被害者と、「気持ちよくなければ虐待にはならないんだよね?」と悪びれもせず話す元神父の証言のあまりの認識の開きに愕然とするばかりだ。

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教会側からの圧力に負けず、地道に被害者と真摯に向き合おうとするユダヤ人弁護士もユダヤ人

最初は取材を断り、追い返されるばかり。
何でそんなことするのだろう??と疑問に思って見ていたけれど、過去に中途半端に取り上げられたことによって、かえって教会側から圧力がかかってしまうようになったのね。

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マイク役のマーク・ラファロはいつも必ず猫背でポケットに手を突っ込んで歩いている

座っていても歩いていても、何をしようと片手はポケット。
貧乏ゆすりもしているし・・・?と思ったら、実際の人物にそっくりにしているのだとか。

一般の人が知らない人に仕草を似せてもどうなの?と観る前は思っていたけれど、これが大成功!
なるほど本当にこういう人、特に新聞記者あたりにいそうよね?
真実味がより一層増して、ドキュメンタリー要素を出すことに成功している。


この映画は問題が問題だけに真面目に取り組むことが要求されていたわけで。
誰もヒーローにならず、なろうとせず、真摯に向き合う姿勢が作品を見事に上質なものにしたのでしょう。

弱いものが被害者になって、それを訴え出ることもできない現実。
神も仏も無い話だけれど、神さまが居るならばいっそ、そんな神父たちはしっかり地獄に落としてほしいものである。


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