「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」女の情念

並々ならぬ情念があるのだろう。
しかし監督・脚本のマドンナの女の情念が、深ければ深いほど空回りする。
そのカメラワーク、そのひとことの存在意義が伝わってこない。
彼女の過去にいったい何があったのか?思わず想像せずにはいられない。





1930年代当時の王室と取り巻き貴族たちの豪華絢爛な衣装と、現代NYのスタイリッシュな映像が見事。


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「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」 公式サイト


<ストーリー>

人から羨まれる富も名声もある医師を夫に持つウォーリー(アビー・コーニッシュ)は、夜毎帰らぬ夫と不妊に不安な日々を送っていた。
かつて勤めていたサザビーズで、エドワード8世(ジェームズ・ダーシー)と妻ウォリス(アンドレア・ライズブロー)の遺品がオークションにかけられると知って、毎日のように通い詰めるウォーリー。
英国で一大スキャンダルとなったエドワードとウォリスの恋に想いを馳せ、彼女はついに決心するのだが・・・・


ウォレスとグルミットじゃないよ☆(題名は原題を使って「W.E.~英国王冠をかけた恋~」のほうが良かったのに。


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主役は実はマンハッタンに住む女性ウォーリー。
サザビーズで訳ありなかんじのガードマン(オスカー・アイザック)といいかんじに・・・・

そもそもどうしてそこまでエドワードとウォリスの世紀の恋に入れ込むのかが、なかなか伝わってこない。
しかも毎日毎日、閉館までサザビーズで過ごすウォーリーは、もう情念渦巻いているかんじで重いっ!!
これじゃあご主人もドン引きで、浮気しちゃうよねー

浮気をしながらもそれなりに愛し合っていたはずのふたりなのに、妻はどうしてこれほどまでに不妊に悩むのか?この焦燥感は夫の浮気から来るものなのか、妻の重圧が夫を浮気に走らせたのか・・・?
この辺りは共感する人もいるのでは?

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サザビーズで遺品を見ながら思いを馳せる

現代NYとエドワードとウォリスの恋を行きつ戻りつする。
オークションの刺繍の入ったテーブルクロスを広げると~~メイドがテーブルクロスをばっと広げるシーンへ飛ぶなど、なかなか上手い演出。
しかしあまりに頻繁に飛ぶので、次第に飽きてくる。
これはもう、『オークションの品に関連付けて飛ぶ』の演出にマドンナが酔っているとしか思えない。


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二人は次第に離れられない関係になっていくが・・・・

自分の母と祖母が、ウォリスの大ファンで同じ名前を自分につけたと話しているけど、肝心のウォリスの魅力があまりないyo?
そもそもエドワードがどうしてこの、美しくも無い人妻に王位を捨ててまで惚れ込んでしまったのか、とんと判らなかった。
私はそこが観たかったのにぃ~~

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堂々と交際するふたり

そもそもエドワード皇太子は、どうして人妻ばかりと恋するのだろう?
と思って調べてみると、幼い頃乳母に虐待されたり、厳しすぎるしつけをされてきたことから、年上や人妻に母のぬくもりを求めて、人妻から多くの貴族令嬢・芸能人にいたるまで愛を求め、ヨーロッパ屈指のプレイボーイだったらしい。

ただこの物語は、ウォリスとウォーリー二人の女性の目線で描かれているので、エドワードが王位を捨ててまで彼女の魅力とり憑かれる心の動きは残念ながら読めなかった。


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離婚もしていないうちから、堂々と交際をアピールなふたり

これは史実なので仕方ないけど、女性の目線から描かれたなら、一度は不幸な結婚を経てウォリスが手にしている幸せ(2度目の夫はやさしそう)を壊してまでエドワード皇太子と危険な不倫をしていたのは何故だろう?

本来この映画は、現代女性のウォーリーの真実の愛と、王冠を捨てるほどの世紀の愛をリンクさせている訳なんだけど、そのあたりがどうしてもリンクしてこないのだ。
というのも、エドワードが王冠を捨てるまでに愛したウォリスは、「私は世界一の悪女にされてしまう・・・・」と眉間にしわを寄せて言う。どうみても自分のことばっかりじゃん!

「王妃の座を狙ったけど、国外退去になり世界一の嫌われ者になったので、実は失敗したと思っている。」のが真実だとしても、ここはリンクさせるなら地位より愛を取ったエドワードの心の動きを強調するべきだったんじゃないかなぁ・・・・



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何があったの?マドンナ監督

アップを多用してPVのようなスタイリッシュな映像が、さすがカッコイイ。
ボカシも使ったかなりこだわったカメラワークも見事なセンスを感じるけど、多用しすぎずにここぞと伝えたい所で使ったほうがよかったかな・・・・・



ウォリスが最初の不幸な結婚で夫からお腹を蹴られ、(多分)子供を産めない身体になったことと、マンハッタンのウォーリーが夫に浮気を詰め寄り逆ギレされてお腹を蹴られるシーンをリンクさせているマドンナ。

そう多くは無いはずのこんな体験を情念たっぷりに描くマドンナは、過去にどんな経験をしたのだろう?
地位と名誉と財産があっても女の本当の幸せをつかめていない(?)、彼女の焦燥感を感じる映画だった。





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この記事へのコメント

2012年11月19日 00:00
>美しくも無い人妻に王位を捨ててまで惚れ込んでしまったのか、とんと判らなかった。

私もそこに興味があります。
「英国王のスピーチ」でも、彼女は悪役としか描かれていなかったので
ウオリス側の目線で見た姿を観てみたいと。
しかしこの作品、意外に評価よくないんですよね。
しかも日比谷シャンテでしかやっていないし。
という訳で、未だに観ていません。

ノルウェーまだ~む
2012年11月19日 08:48
zooeyさん☆
私は期待が大きすぎちゃったのかもしれないですけど、やはり興味あるのはウォリスの感情と王位を捨てたエドワードの葛藤ですよね。
ウォリス的には、本当の所は苦悩していた・・・という印象のつくりでしたが、その分『この人本当は後悔しているのかな?』と思えてかえって興ざめしちゃいました。
2012年11月23日 09:06
確かにこの4人の中で、エドワードだけ描写が薄かったのは残念でしたよね。そこがないと決め手に欠けるというか。

>地位と名誉と財産があっても女の本当の幸せをつかめていない(?)、彼女の焦燥感を感じる映画
わおー、まだ~むさんきびしーい! (笑)
私は本作、パーフェクトとは思わないけど、それでも女性たちの苦悩という視点からはかなり共感出来ました。映画自体が美しいですしね。
というか私自身が自分に酔っ払って生きているんで(笑)、わかっちゃうのかもしれません。
ノルウェーまだ~む
2012年11月23日 15:41
rose_chocolatさん☆
うわーroseさんは彼女にしっかり共感できちゃうのですね~
自分に酔って生きてるって、なんだかカッコイイ~!!
でもこの主人公のウォーリーは、もっと自分に酔って、自信を持てたらこんな風に日々焦燥感に駈られる必要なかったと思うのだけど・・・
少なくとも自信のかたまりみたいなマドンナが、若い男とくっついて結局別れて・・・なんて人生に、心から女の幸せを感じられてなかったのかなぁというのが私の感想なんですぅ。
2012年11月23日 22:31
あんまりこの映画に、マドンナ臭(って言ったらおかしいけどw)って感じなかったんですよね。
マドンナの生き方も全く知らなくもないけど。そこはあまり思い出さなかったのがよかったのかも。チラリとでもよぎるとそこが気になっちゃいそうではありますね。

ウォリーって、結構旦那さん心配したりしてたじゃないですか。基本「添う女」のような気がするんですよね。添って行きたかったのにそこが崩れてしまって、でも突き放す勇気がなかなか出なくて・・・ってところにシンプソン夫人のコレクションと出会った、みたいな。
迷いって他人から見ると一目瞭然なのに、自分じゃなかなかわからないものかなーと。
ノルウェーまだ~む
2012年11月23日 23:54
rose_chocolatさん☆再びありがとう~
私もはじめはマドンナ臭をちっとも感じてなかったのだけど、シンプソン夫人とウォーリーの共通項を見つけられなかった私が、もしやマドンナの並々ならぬ思い入れがそこにあるのかな?と後で思ったんですよね~

確かに自分の迷っている部分は、他人から見ると明らかなのに、自分だけ気が付かない事ってありますね・・・
「添う女」か・・・なかなかいい表現☆

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