「聖なる犯罪者」☆また凄い映画を見てしまった・・・ポーランドの実話ベースのお話

信仰とは?宗教とは?真実とは?正義とは?善行とは?悪行とは?誠実とは?不誠実とは?赦しとは?
驚愕のラストに、主人公同様途方に暮れ戸惑い考えさせられる。

「聖なる犯罪者」ポーランド・フランス合作 公式HP
92回アカデミー賞 国際長編映画賞ノミネート作品
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少年院で信仰の道に触れたダニエルは神父になることを夢見ていたが、前科者はその職に就けないと聞かされる。
仮出所で田舎町の製材所へ赴いた彼は、ふらりと村の教会へ立ち寄りふとついた嘘から新任のトマシュ司祭と間違われる。
アル中の治療の為に病院へ入った村の司祭の代わりを務めるうちに、人々は型破りな方法で村人の心を癒す彼に心惹かれていく。
ある日、製材所の式典に呼ばれて祈りを捧げる姿を、少年院の仲間に見られ金をせびられるが・・・

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とくかくヒリヒリしている。
ダニエルは少年院のトマシュ司祭に感化され神父になりたいと思い熱心に祈りを捧げる訳だから、普通なら「改心した」のだと思うところ。
ところがどっこい彼は司祭の言葉に背いて仮出所後 即座にクラブでドラッグと酒と女に溺れるのだ。
ダニエル役のバルトシュ・ビイエレニアは痩せてギョロッとした目が印象的。
いかにもワルな印象に「いつキレて再び殺人を犯してしまうのか?」といった疑心暗鬼に観客は終始不安を掻き立てられるのだ。
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小さな村でシスターをやっているマルタは、事故で兄を亡くしているが、彼が事故の直前ドラッグと酒でラリっていた事を知っていた。
マルタとダニエルは共に年相応のやんちゃ振りで、陰ではとても聖職者とは言えない振る舞いなのだけど互いに似たものを感じて親密になって行く。と同時に物語の核となる『1年前の事故の真相』に心を痛め、『加害者』側として村八分になっている女性の心の支えになろうとする自然な流れができて実に秀逸。
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1年前に事故で死んだ若者6人グループの遺族は自分たちだけが被害者だと言い張って、相手の車の男性を墓地に埋葬する事すら拒否し続けていたが、真実を知った「少年院あがり」のダニエルが村人たちのわだかまりを溶いていく。
この時点で価値観がひっくり返り、ダニエルの善行に全幅の信頼を寄せていくようになっている自分がいる。
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ダニエルは多少の知識があっても、神学校で学んだわけでは無いので見様見真似のミサの説教は全てアドリブ。
でもかえってそれが心から湧いて出た言葉であるがゆえに村の人の心にしっかりと刺さって、信頼と癒しを村人に与えていくところが凄い。
ただ聖書を読み、おりこうさんな教えを諭されても誰も救われないのだとしたら、宗教とはいったい何なのか?信仰とは誰の為にあるのか?ニセ司祭でも人を救う事が出来るとしたら、正しい行いとはいったい何なのか?改めて考えさせられるのだ。

しかし!仮出所なので再び少年院に戻ったダニエル。ここで驚愕のラストが待っている。
この2時間弱の映画の中で何度も価値観が覆され、観客は翻弄されたまま放り出されることになる。最後になって重い荷を背負わされたような気分だ。

ポーランドで起きた実話を基にした物語。行き場を失った人が身分を詐称して司祭になりすますのは、ままあるらしい。


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