「グレイテスト・ショーマン」☆誠実と偽物の境界線

アカデミー賞歌曲賞にノミネートされた「This Is Me」だけでなく、心の底から歌い上げるコーラスに胸が打ち震える☆
感動で映画の半分以上ずっと目がウルウルしていたのに加えて、3Dに特化した映像は焦点が1点に絞られているせいか2Dで観ると何故かぼやけてしまう。
ただ、ぼやけているのは画像の焦点だけでなく、ふと気付くとどこかピントのずれた方向性に、せっかくの歌の感動的爽快感が昇華しきれずモヤモヤと・・・・


画像
「グレイテスト・ショーマン」 公式サイト

<ストーリー>

父を失ってホームレスとなった少年は奮起して勤め人となり、かつて仕立て屋の父と訪れていた名家の令嬢と駆け落ち同然に一緒になる。なかなか家族を幸せに出来ないと心機一転、アイデアを駆使しサーカスやフリークショーを行う興行師となる。
特徴的な身体を持つことで、日陰の生活を送っていた人たちを集め、大々的な宣伝で大人気を博し大成功を収めるが、妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)の両親からは理解を得られず、一部の街の人からも非難を浴びていた。
更なる成功のためスウェーデンの歌姫に魅了されたバーナム(ヒュー・ジャックマン)は、彼女を連れて全米ツアーに繰り出すのだが…


画像
実際ミュージカルにも多数出演しているヒュー様だけに、歌も踊りも最高に素晴らしい!!

冒頭のシーンから実力が違うわ~とひたすら感心。爽快感もハンパない!
これはミュージカル映画というより、楽曲を1曲まるまる歌い上げるなど内容的にも視覚的にもほぼミュージカル。
というより、ミュージカルとして舞台で観たほうがいいのかも?

画像
特に注目はバーのダンスシーン

ショーでのダンスも当然ながら圧巻なのだけど、麦茶でなかったらリハを含め泥酔しそうな、リズムに合わせてウイスキーを煽りつづけるダンスの軽妙さったら!
バーのお兄さんもプロ中のプロってかんじで、息の合った3人のパフォーマンスはそれだけでも賞をあげたいくらい。

画像
得意技は空中ブランコって、その技どこでやっていたの??

PTバーナムは実在の人物。『大衆が楽しめるショービジネスの原点を編み出した伝説の興行師』ということなのだから、募集を掛けていきなり空中ブランコが出来る人がやってくるのも不思議な話なのだけど。

因みに彼は動物園とサーカスと蝋人形とフリークスを一緒にしたものを興行していたそう。
映画にも出ていた「親指トム将軍」の他、実際には「芋虫男」「4本足の少女」などの寄生性双生児や結合性双生児、「アルビノ一家」エレファントマンのような難病の人が主な出し物で大人気を博し、スターとなった彼らも収入が多く贅沢な暮らしをしていたのだとか。

画像
主軸となる話は実はバーナムのサクセスストーリーではなく、家族愛の物語

PTバーナムがモデルだけれど、物語の根幹でもある『名家の令嬢と結婚しても実家からは認めてもらえな』いという部分は創作なのかな?
予告編から受ける印象や、名曲「This Is Me」の歌詞から期待される『日の当たらない人たちが家族のような絆で結ばれ居場所を見つける』部分は実は一部分で、妻の実家から認めてもらう為に富と名声を得て上流階級へ近づこうとするバーナムが家族との絆を失いかけ、劇場も失って初めて大切なものに気付く・・・・という話なのだ。

画像
スウェーデンの歌姫をプロデュースして全米を公演して回るのは実話部分

美しいスウェーデンの歌姫(ジェニー・リンド)が素晴らしい歌を披露し、その歌声にみるみるバーナムが虜になっていく瞬間が秀逸!
歌姫とバーナムの間にビビビッと走る電気のようなものと、その様子を客席から見て瞬時に感じ取る妻のシーンで、思わず「あー、ヤバイよこれは…」とつぶやいてしまった私(≧▽≦)

しかし「据え膳を喰わずに妻の元へ戻ったバーナム」が真実の家族への愛を取り戻す…で、めでたしめでたしとなるラストは一見するとハッピーエンドで良いのでしょうけど…

画像
実はこの映画の成功の立役者は、ヒゲ女レティ役のキアラ・セトル

フリークスのメンバーたちはバーナムに見出されて「ここが私たちの居場所、家族だ。」と絆を深めているのに、バーナムは成功を掴んで開催した上流階級の人たちを集めたパーティからは、そんな彼らを締め出してしまう。
そんな時に彼らが力強く歌うのが例の「This Is Me」なわけ。

すごく感動的な盛り上がりなのに、どこかしっくりこない。
最終的には若き共同経営者のフィリップ(ザック・エフロン)へ丸投げして、自分は家族の元へ走って行っちゃう。

そもそも大金を借りる為に拝借した(盗んだ)沈んだはずの12隻の船の権利書や、劇中でも詐欺師呼ばわりされる「話を盛った演出をする」バーナムと、真実の愛を選んだ誠実さを描く視点にブレが生じていて素直にめでたしめでたしとはどうしても思えないのだ。

力強いコーラスで感動の嵐に浸った爽快感は、やがて不信感に侵食されて空中ブランコの様に宙ぶらりんになってしまう。
結局「ララランド」のチームは本物の『悲哀』を描くのが苦手な、華々しいハリウッドの真ん中に鎮座している人たちなのかなと思わずにはいられなかった。



"「グレイテスト・ショーマン」☆誠実と偽物の境界線" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント