「ハクソー・リッジ」☆度胆を抜かれるかつてない臨場感

見事である。
今までの戦争映画が足元にも及ばないと思ってしまうくらいのリアルな臨場感。
「野火」のグロさに匹敵する血肉飛ぶ戦場の惨状が、目の前にまざまざと見せつけられながら、そこには一筋の希望と癒しがあるという素晴らしさ。
メル・ギブソン監督に惜しみない拍手を!!

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「ハクソー・リッジ」 公式サイト (6月24日 公開)

<ストーリー>

田舎の山を兄と駆け回って育ったデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は、第一次大戦の心の傷から酒浸りの父が母と喧嘩が絶えなかったことをきっかけに、「人を殺してはいけない」という宗教上の信仰を厳格に守っていた。
第2次大戦が激化し、愛国心からドスも衛生兵として兵士になることを決意するが、配属された部隊では訓練中武器を触ろうとしないドスは、上官や仲間から酷いいじめを受けるのだった。
ついに軍法会議にかけられるドスだったが、恋人や父の支援を受け、法的に衛生兵として戦場に出ることが許される。
そしてついに激戦地ハクソーリッジへ赴くが、そこには累々と死体が転がり、仲間も次々に銃弾に倒れ・・・・


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ドスには美しい看護婦の彼女ドロシー(テリーサ・パーマー)がいて、彼との結婚の日を待ちわびていた

ドスの人となりを紹介する前半部分は、子供の頃~恋人が出来る~志願するまでを、程良くしつこくない程度に扱って、必要以上にドラマチックにしてないところも好感度が高い。

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部隊では一気にいじめの対象に

「武器は触りません」と軍隊で言ったら、ま、そうなるよね。
子供の頃から野山を駆け回って、マッチョじゃなくても身体能力に長けているだけに、上官も扱いが難しく・・・
仕方なく上官が率先して与える過酷な試練のうっぷんを、ドスを攻撃することで晴らす部隊のメンバーたち。
ボコられても誰がやったかチクらないドスの信念も凄い!

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酒浸りの父親もやるときはやる!

酒に酔ってていつも暴力的な父が、息子たちが戦争に行くことを頑なに反対していたりと、いい人なのか嫌な人なのか、暴力に反対なのかそうでないのか、ちょっと判りにくいところが唯一の難点かな。
自身がアル中で仕事も干されてしまったメル・ギブソンの、人には理解出来ない「アル中なんだから仕方ない」論がここに表現されているような気も(笑)

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いよいよ前線に送られるが、そこは恐ろしい惨状が広がっていた

ハクソー・リッジ(のこぎり崖)は、和名前田高地。
軍隊の規模でも装備でも到底敵わない日本軍が、米軍を上陸させて叩く作戦だった激戦地がここ。
今でも縄梯子を掛けた尖がった岩があるそうだ。
それにしても縄梯子でえっこら上がってくる米軍を真上から攻撃したらあっという間な気もするのだけど・・・

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実在の人物に似ているだけでなく、アンドリューの醸し出す雰囲気が、良心的兵役拒否をして唯一誰も殺さずに名誉勲章を貰った人物を描くこの映画に必須だった

彼にしか出来ない演技が強く胸に響き、素直に応援したくなってしまう・・・・・しかし、そこは激戦の沖縄戦。
「憎きジャップはケダモノだ。」と罵られ、あまりに過酷な戦闘シーンに、ああ早くこの恐ろしい戦闘を終わらせてあげて=日本軍が負けてしまうという複雑な思いが湧き上がる。

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メル・ギブソン監督と日本兵の皆さん

この映画は中国でかなりの興行収入があったそう。皆、日本兵がやられるところを観たかったということなのかしら?

確かに負傷兵を探し出してとどめを刺したり、最後の卑怯な手で粘り強い攻撃をしてきたりと、「ジャップ」として描かれる部分もあるにはある。
ただ一方的に悪者に描いてはいないことは明らか。
きちんと見れば、鉄製のヘルメットも被らず、第二次大戦とは思えないような、銃の先っぽで刺すという捨て身の攻撃で攻めてくる日本兵に向かって、火炎放射器で一気に火だるまにする方が、酷くないとは誰が言えるのか??


いったいどうやって撮影したのか?と思えるくらい、目の前の兵士の身体がぶっ飛んでも、この映画は美しく戦争映画の理想形である。
自らの信念を曲げず、75人もの負傷兵をたった一人で一晩中崖からロープで降ろした一人の兵士は、生きている間はヒーローとして映画で描かれるのを拒否し続けた本物のヒーローなのだ。



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