「ムーンライト」☆何も語らずに多く語る

詳細は何も説明しない,、主人公もほとんど言葉を発しない・・・・・なのにこんなにも多くの事を語ることが出来るなんて!!
アカデミー賞作品賞だから「良い」のではない。
この作品だからこそアカデミー賞作品賞に相応しいのだ☆


終始胸が苦しい。胸が締め付けられるように痛い。痛み続ける・・・・・見終ってもまだ。


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「ムーンライト」 公式サイト
ポスターは幼少期、少年期、青年期の3つの顔が1つになっているって、今まで気付かずにいたくらい、別人の3人の眼が同じって凄い!!

<ストーリー>

身体が小さく繊細で気弱なシャロンは、リトルとあだ名されいつもイジメにあっていた。
母は麻薬中毒で家には居場所が無く、いじめっ子から助けてくれた麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)に次第に信頼を寄せ慕うようになる。

高校生になったシャロン(アシュトン・サンダース)は相変わらず独りぼっちだったが、子供のころからの唯一の友ケヴィン(アンドレ・ホーランド)だけが心の支えだtった。
酷く嫌がらせを受けたある夜、浜辺でうなだれているとケヴィンがやってきたが、友達以上の想いを抱いていいたシャロンは・・・


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リトルとバカにされてきたシャロンは、フアンにもなかなか心を開かなかった・・・・

子役の子の表情がイイ!
シャイで何も言わない、警戒して何も言わない、自信がなくて何も言わない・・・・・全て同じ目なのに、その感情がしっかり伝わってくるのは監督の手腕か見事なのかも。

何を聞いても何も答えようとしないシャロンに、辛抱強く対応するフアン夫妻は、麻薬のディーラーという事を除いては完璧な人物。シャロンは嫌悪する麻薬患者の母とその麻薬を売っているフアンの間で葛藤する。

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麻薬患者の母をハオミ・ハリスが好演

3人でシャロンを演じる長期にわたる成長物語でも、母はナオミ・ハリス一人。
薬の為に豹変する母、子供を愛する母、子育てに厳格な母、年老いて弱っていく母を見事に演じていた。
最後の章で、施設(?)に母に会いに行くシーンではもう号泣!!

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高校生になっても檻に閉じこもり、いじめの対象でしかなかった

冒頭から終始、胸が痛むことばかり。
どうかこれ以上酷い目に遭いませんように・・・・と、思わず神に祈る私。
唯一心を寄せる親友からの仕打ちに心折れる時の、彼の感情がこみ上げてくるシーンは秀逸!

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1リトル→2シャロン→3ブラックと彼の成長物語を3部作で魅せる

かつて袂を分かった親友ケヴィンは、働いているダイナーに料理を食べにおいでと、10年以上ぶりに電話をよこす。
ここでも二人はベラベラとは喋らない。男の子ってこんなもんなのね。

最後の海の美しく「青く」輝くシャロンのシーンで、彼の恋が成就したことを示唆しているようにもみえるけど、実は明確にされていない。
だとしても彼はこの瞬間、友に裏切られた思っていた絶望の淵から、人間としての尊厳を取り戻したのだとハッキリ言える。

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この映画はLGBTを主なテーマとして前面に押し出しているのではなく、人の生き難さ、人としての尊厳をテーマにしている

女手一つで育てるために客を取るしかなかった母、麻薬に溺れる母を嫌悪しながら結局売人になり心の弱さを隠すために金歯と金ネックレスと筋肉で武装し見せかけの強さに守られる繊細な心の持ち主シャロン。
言われるまま大切な友人を殴ったけど、結局その後も「あの」レゲエ野郎の犬になっていたに違いないケヴィン。


もしこの映画の良さがよく伝わらない人がいたとしたら、それはきっとレゲエ野郎の側の人間に違いない。
行間をきちんと読める人、繊細な心を持った人には深く刺さって強く響く、きっと忘れられない映画になるはず・・・・・




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