「沈黙」☆そこに真理あり

救いを求めて信仰してきたのに逆に不幸のどん底へ落ちて行く貧しい農民と、真理を見つけられずに苦悩する司祭が見えない網に絡めとられて身動きできなくなる姿があまりにも過酷で、2時間42分もあっという間の圧巻の映画だった。
時に碧く静かで美しく心を癒してくれるかと思えば、時に荒々しく黒く底が見えない深さに恐れおののく、まるで宗教とは海のよう。
深い。海のように深すぎるテーマ。


パパンが、珍しく一緒に映画に行ってくれると言うので二人で鑑賞☆

画像
「沈黙」 公式サイト

<ストーリー>

1633年。キリスト教が禁じられた日本で棄教したらしいフェレイラ司祭の真相をつかむために密航してきた宣教師のロドリコ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルべ(アダム・ドライバー)。
マカオで出会ったキチジロー(窪塚洋介)に案内され、ようやく辿り着いた五島列島で歓待を受けるも、隠れて信仰している農民の過酷な生活に驚く。
激しい弾圧で拷問に遭う農民を見殺しにするしかなかった二人は、二手に分かれて逃亡生活を送るが、キチジローの密告によりついに捕えられてしまう。
頑なに棄教を拒むせいで、拷問され続ける農民を救うには、自ら棄教するしかないと先のフェレイラに諭されたロドリコはついに・・・・


画像
長旅で疲労困憊の司祭よりも、何倍も汚く黒く薄汚れたモキチ(塚本晋也)の手のアップで、彼らの過酷な生活を一瞬にして物語るなど実に秀逸!

静かな森の風と虫の声、遠くに鳴る雷、ハエの飛ぶ音・・・・・
自然のなりわいだけが息づいているかのような始まりに、この映画に向き合ったスコセッシ監督とドロドロでボサボサで過酷な撮影を乗り越えた俳優たち、勿論原作の遠藤周作の本気度が伺える。

特に塚本晋也が「野火」並の過酷さで挑んでいる。水責めなど拷問に遭うところや、その見事な存在感には喝采を送りたい。


画像
案内役のキチジロー(窪塚洋介)は、何度も神を裏切るが・・・・

かなり重要な位置づけにあるキチジローを窪塚洋介がいつもの「ザ・窪塚」を捨てて見事に演じている。
何度も棄教し、家族も見捨て、拷問に耐え兼ねすぐに司祭を売ってしまう彼は、それでも何度も許しを請いにロドリコの元へやってくる。

しかしそれこそが『真理』であり、彼こそがこの映画のテーマそのものなのだ。

画像
井上筑後守の何とも言えない嫌らしさや、でも決してワル役なだけではない風格をイッセー尾形が好演

恥ずかしながら原作を読んでいない私には、なぜ筑後守がこんなにも英語が堪能なのだろう?と最後まで不思議だったのだけれど、実は原作では元は熱心なキリスト教信者で、自らも「転んだ=棄教した」人のひとりだったと描かれていたのだそう。
これを『英語が堪能』だけで表現していたわけだけど、さすがに判りにくいなぁ~

画像
通辞(通訳)の浅野忠信、いつになく軽い感じには訳があった

『世界の浅野忠信』にしては随分軽い演技だなぁと思っていたら、なるほど・・・・
これも後になって知ったのだけど、この通辞も実は転教(棄教)した一人。
踏み絵をさせる時に、やけに「軽く踏んだらいいんだよ、形だけ」「な?形だけだから」と勧めていたわけね。
その辺の事情は映画からはちょっと伝わりにくいかな。

画像
あの加瀬亮ですら、隠れキリシタンの村人のひとり

なぜか存在感すら消していた加瀬亮、逆に超汚い肌メークで頑張った小松菜奈は演技も光っていたし、簀巻きのまま海に落とされたりと大健闘!すごい!!

他にEXILEのAKIRAも出ていたらしいけど、みんな顔ドロドロ髪ボサボサで見分けつかなかったし??

画像
探していたフェレイラ司祭は、棄教し日本名を名乗って日本人の妻を娶っていた・・・・・

見終った後、用意しておいたハンカチを使うことなく終わったこの映画の、伝えたかった事は何だろう?とパパンとあれこれと話し合ってみた。

画像

キリスト教徒ではない、というより無宗教を信条とする私たちからすると、『宗教の本質=神はそこにはいない、つまり偶像や教えに縛られた宗教に、人は決して救われない』事が、ある意味『真理』なのだ・・・・と思ったのだけれど、
原作者の遠藤周作が自らをキチジローのモデルとしたキリスト教徒であったことから

最終的にキリスト教を水際で排除する仕事についたロドリコやフェレイラ、(そして筑後守に通辞にしても?)、その芯のところでは実は神を深く信仰し続けていたという点で、ほいほいと棄教するもすぐに司祭の元へ戻ってくるキチジローとその本質的なところで同じなのである・・・・・と結論した。


テーマは深い。『宗教は誰のためのものか?』~~弱き者の為にこそあるのが信仰~~真理はまさにそこにあるのでないだろうか?
新年1本目の映画をこの映画にして本当に良かった。



"「沈黙」☆そこに真理あり" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント