「草原の実験」☆すごい映画を観た!

こんな映画を今までかつて観た事ないっ!
台詞はひとつとして無いのに雄弁。
透き通るようで清らかな美しさがあるのに醜悪。
愛しいほどに愛が溢れているのに絶望的。



多分、私の中でこの作品が、今年のベスト1になるに違いない。

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「草原の実験」 公式サイト (9月26日公開)

<ストーリー>

とある大地に住む父と娘。
どこかへ仕事に行く父をトラックで見送り、帰りは幼馴染が馬に乗せて送ってくれて、家に着くとお礼に命を繋ぐ井戸の水を飲ませてあげる単調な日々に、娘は幸せを感じていた。
しかし突如、多数の車と共に現れた青い目の青年に、娘は心惹かれ、ほのかな三角関係が生まれる。

ある夜、帰宅した父が倒れてベッドに伏せっていると、豪雨の中、男たちがやってきて父の体を調べ始めるのだが・・・・


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静寂の中に暮らす美しい少女
聞こえるのは吐息、風の音、衣擦れ、本をめくる音、床を歩く音・・・・・

お茶目だけど何も話さない父に、この娘はどうやって言葉を教えてもらったのだろう?と思うくらいの静かな日々。
冒頭の、その名の通りの羊毛布団(羊)で居眠りをする父親の寝息で、思わずこちらまで眠りに誘われてしまうので要注意!(笑)

色もない、緑の葉っぱで作った押し花(しかも貴重な最後の押し葉?)の絵本が、生活ぶりを雄弁に語っている。

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台詞もナレーションも無い、注釈もないけれど、美しい映像のひとつひとつが饒舌

延々と続くあやとり(ロシア?にもあやとりがあるのね!?)で、単調だけど静かに続く、又はこれから予測される(期待している)幸せな日々を表現していたり、干している二人の洗濯物が絡みついて愛が成就したことを表現していたり、映像のひとつひとつがとにっかく秀逸。

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その日は突然やってきた
ちょっとウト・・・としかかったあたり(笑)で、突然それはやってくる。

放射能計測器が大きな音を立てて鳴る。
訳が分からず、全裸で豪雨の中震える父。布団にくるまり息をひそめて、恐怖から逃れようとする娘。

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意を決して旅に出るも、ゆく手を鉄条網が阻む

仕方がないので決意したのかな?結婚。
三角関係の恋の行方は、この映画の唯一コミカルな部分で、ほっこりさせてくれる。

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旧ソ連、カザフスタンで実際に起きた出来事にインスパイアされて作られた物語

絵本のように詳細を削ぎ落とすことによって、この映画はある種、ファンタジーの様相を呈している。
いったい何を食べて生活しているの?
届けられた手紙には何が書いてあったの?
青年はどこから来たの?
なんで裸の大将みたいなお父さんから、こんなに美しい女の子が生まれたの?(爆)

何も語られないことで、観客は考える。考える。考える。


そうしてラストのシーンを胸に、もう一度これからの日本を、これからの世界平和を考えていきたい。



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