「アメリカン・スナイパー」☆鎮魂

もう戦争映画も出尽くしたと思っていた。
ここまで完璧な映画が、まさかこのタイミングで現れるとは・・・・


登壇者は戦場カメラマンの渡部陽一氏と、朝日新聞記者の方の対談形式。(試写会で初めて全うな人が来たわ☆)
実にためになる素晴らしいお話をしてくださった。
後ろのスクリーンには、渡部氏が撮影した戦場の子供たちの写真が。・・・・・ああ、この人本当に戦場カメラマンだったのね・・・

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「アメリカン・スナイパー」 公式サイト(2月21日公開)

<ストーリ>

正義感の強いクリス・カイルは子供の時から弟を守って戦う強い男だった。
憧れのカーボーイから、国を守る軍人となり、厳しい訓練を乗り越えネイビーシールズに入隊、イラク戦争の狙撃主となる。
美しいタヤ(シエナ・ミラー)と結婚するも、4度の過酷な前線派遣に次第に心を蝕まれていったクリスは、仲間を守って伝説となる一方で・・・

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完璧な狙撃の腕と、類まれなる正義感、努力を惜しまない訓練の積み重ねでレジェンドとなる

ブラッドリー・クーパー色をあまり出さずに、あくまで一兵士として登場するのがいい。
ヒゲがあったりなかったり、途中で彼がブラッドリー・クーパーであることを忘れてしまうくらい。
ヒゲだけで引っ張る映画とは大違いだ(爆)
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本国に帰還して、ようやく幸せが訪れると思ったけれど・・・・

戦地から無事戻ることだけを願って暮らす妻。
軍人と結婚するということは、そういう事なのね。
しかも、たとえ無事に帰ったとしても、魂はそのまま戦地に置き去りだったという悲しい現実。
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極限状態の中、電話で妻の声を聴くのが精一杯

恐怖と混乱から精神状態も極限状態に。
でも銃声が轟く中で掛けてきた電話が突然途切れたりしたら、どれだけ妻は心配か・・・・

しかし、この極限を乗り越えた時には、既に戦争という病に侵された心は戻ってくることがないのだ。
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あまりにも残忍な反政府武装勢力の行いに、胸が張り裂けそうになる

手りゅう弾を抱えたテロを目論む女や子供を撃たなくてはいけないクリスであれ、米軍に情報を与えた一般市民を見せしめに殺す反政府武装勢力であれ、決してそこには正義はない。
世界的にタイムリーな内容に、言葉を失うばかりだ。
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妻は夫の変化に気付いていた

過剰に暴力的に体が反応してしまうクリスに、一抹の不安をかかえる妻。
国を守る、家族を守るという大義によって自らの精神状態を保っているうちは良いけれど、それがいつしか戦争の虜となっていることに気付いていない。
それを愛国心と呼ぶべきか、戦争マニアと言うべきかは、きっと誰にも答えを出せないのだろう。
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4度のイラク派遣で、ついに・・・

敵からも目をつけられるほどの伝説の男になるクリス。
終わりのない戦争に、どう映画的ケリを付けるのかと心配したけど、やはり最終的には狙撃手との一騎打ち。
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少しずつ精神的リハビリをして、家族の元へ戻りつつあったが・・・

ラストのエンディングは完璧な無音。
劇場でも誰一人、物音ひとつ立てることなく長い長いエンディングの最後まで、身動きもせず息を詰めていた。

この映画は実在した伝説の男を描いていてもヒーローものではなく、反戦映画とも違う。
誰が正義で誰が悪というのでもない。

ただそこにあるのは、鎮魂のみ。
この無音は、戦争の犠牲となった多くの一般市民、子供や女性に捧げる黙とうに違いない。




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