「誰よりも狙われた男」☆見事な題名

フィリップ・シーモア・ホフマンが最後に主演した映画として遺したのが、この作品で本当に良かった。


全編を通して漂う、重く息苦しい空気と、直線的で堅苦しいドイツの街並みにどんよりと湿った空が、ヨーロッパならではのスパイ映画を重厚に描いていて秀逸。

明らか派手にドンパチやってスパイ活動が一般市民にもバレバレになっちゃうハリウッドスパイ映画より、ヨーロッパの隠密感が好き♪と思ったら、私の大好きな「裏切りのサーカス」のジョン・ル・カレ監督だったwa
やっぱりスパイ映画はこうでなくっちゃ

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「誰よりも狙われた男」公式サイト

<ストーリー>

密入国した青年イッサ(グレゴリー・ドブリギン)は、イスラム過激派として指名手配されていた。
ハンブルグの諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、彼が人権団体の弁護士リヒター(レイチェル・マクアダムス)を介して接触してきたイギリス人銀行家のブルー(ウィリアム・デフォー)から、重要な情報を入手し、さらなる大物を狙って、彼らを泳がせることにしたのだが・・・・・


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冷たい海を泳いできたイッサを、当局は既に監視していた

9.11以来、過激派の動きに敏感になっている諜報機関のメンバー。
それにしても物凄い情報察知能力。
実は実際にテロ容疑の濡れ衣で拘束されたトルコ人青年が、このイッサのモデルとなっているのだそう。

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金髪に染めたレイチェル・マクアダムスが知的な弁護士を好演

感情を抑えて知的に、でもタカピーでなく人権問題に真剣に取り組み、誠意をもって暖かく向き合おうとする、若き弁護士を見事に表現。
困っているイッサを心から手助けしたい気持ちと、スパイ活動に巻き込まれて困惑する気持ちで揺れるけど、何より変に青年とイチャついたりするような展開にならなかったのが実に良かった☆

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我々はスパイだ

スパイなので盗聴も監禁もお手の物。
ターゲットの一番近い人物をスパイとして利用するけど、あまりに切ない結末に、「人情」のかけらもない諜報活動を見ていると、バッハマンの言う「正義」とは?と考えさせられてしまう。

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CIAも乗り出すが、友好的に振る舞っていても実は本心を言わない

同じ人物をターゲットにしていても、諜報機関と警察、CIAで、協力し合っていそうに見えて敵対している。
大物を釣るためには、ターゲットを泳がせたいのに、警察が先にイッサを逮捕しようと動いているので、争奪戦になる。
うーん、目的は同じ「世界の平和」のはずなのに・・・・・

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銀行家のデフォーさん、オーラを隠しているけど隠しきれてない

訳アリだけれども、そこまで大物ではないので、ちょっとデフォーさんスパイのパシリをやらされるにはオーラが強すぎ・・・・・

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執念で追いつめてきたターゲットに、自身が信じる「正義」で辿り着きつつあったが・・・・

原題は邦題と同じ「A Most Wanted Man」
驚愕のラストで、この題名の意味がようやっと分かる。

静かで荒い息遣いまで伝わってくる息詰まるような迫真の演技は、彼の信念と孤独感がよく伝わってくる。
と同時に、彼の太り過ぎた体型と、少し動いただけで息が切れる様子は、実生活で薬中毒となり既に心臓が弱っていたのでは・・・・と思わずにはいられない。



フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作が傑作であったことに感謝し、彼のご冥福をお祈りいしたい。

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