「利休にたずねよ」☆美に惑わされる

まさに『日本の美』の真髄である。
紛れも無い日本がそこにあり、日本の美を限りなく追求して、これほどまでに見事に再現しつくした映画が他にあっただろうか?
しかしその美に惑わされ、酔っている間に見落とした何かがそこにはあり・・・・


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「利休にたずねよ」公式サイト

<ストーリー>

信長(伊勢谷友介)に気に入られ、秀吉(大森南朋)にも「天下一の宗匠」と重宝がられた利休(市川海老蔵)だったが、やがて秀吉に疎まれ切腹を申し付けられる。
思い出すのは、彼がまだ青年の頃に出会って恋に落ちた高句麗の女性のことだった。
そんな利休に妻・宋恩(中谷美紀)は、「あなたはずっと想い人がいたのでは・・・?」尋ねるのだが・・・・



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自分の美に対する目が確かなことに自身がある利休は・・・・

「美は私が決めること、わたくしが選んだ品に伝説が生まれます。」と予告にもある自信満々な利休は、私が思い描く利休の姿というよりも、海老蔵そのものにも思える。
というよりも、どこか俺様なイメージもある直木賞を受賞したこの小説の利休を演じられるのは、まさに海老蔵にほかならないのかも。

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故 市川團十郎と親子競演を果たす

たとえ映画の中の1シーンであったとしても、父 市川團十郎に「本物の目を持っている・・・」というような事を言ってもらえたのは、彼にとっても相当に嬉しかったのではないかしら?


ロンドン歌舞伎公演を観て思ったのは、この若さで、海老蔵が他のどの歌舞伎役者よりも格段に巧いということ。
彼がもし「わたくしが『日本の美』・・・・・・で、ございます。」と言ったとしても、これは納得できると言わざるを得ない。
この映画に描かれている利休は、まさにそんな海老蔵そのものなのだ。



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利休は美をとことん追求し・・・・

愛する人を失ってから、ストイックに茶道と美に深くのめり込んでいく利休。
しかしあれだけの放蕩息子だった時代から、まるで人が変わったように、堂々として神々しいまでの物腰を獲得するに至る途中経過が描かれていないので、あまりの変化にやや戸惑ってしまうのは事実。

それにしても、十代の頃から70代の利休まで、違和感無く演じられる海老蔵は、実に見事!
化粧だけでない、CGでもない、彼の特別な何かが演技力を超えて私たちに不思議なオーラを見せてくれるような気がした。


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このごろ悪役も増えてきた大森南朋の、スーパー出世秀吉が面白い

茶道の道に入ってからの利休はほとんど変わらないので、その時の年齢は判明しないのだけど、その分、秀吉がどんどんと天下を取っていくことで、時代の流れを見つけることが出来る。

最後はふてぶてしい秀吉となって、見事な悪役っぷりを披露している。


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本当に美しかったのは妻の宋恩(中谷美紀)

ほとんど表情を変えないのに、しっかりその時の心情を表現しつくす中谷美紀は素晴らしいの一言。
海老蔵に比べると若い時から落ち着きすぎていて、若妻?熟年?と迷う事もあるけど~

ラストで初めて見せる妻の激しい情念をぐっとこらえる切ないシーンが、全編にわたって見せてくれるどんな美しい『日本の美』よりも、もっと素晴らしい『日本らしい美』であったと思うのだ。




しかし予告編では「歴史を動かす利休」のような宣伝だったけれど、そのような歴史を揺るがす新事実!みたいな煽りはやや違うような?



『美』に酔いしれていると、案外普通のメロドラマだったんじゃん☆ということや、利休の後半はほとんど表情なし?だったことに気づかず終わってしまう可能性も。
そして『間の美学』を追求した茶道や美の所作は、ゆったりした間を十分に取ったことでやや眠りにいざなわれることもあるのでご注意を☆



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