「エリジウム」☆根底にあるもの

低予算なのに突如表れて話題をかっさらっていった「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督の第2弾作品。
この監督だからとか、この俳優だからという映画の見方は余り好きじゃないし、たいてい予算がいっぱいつくと、どういうわけか作品が陳腐になってしまったりするもの。
見るからに何処かで見たような話の設定なのでほとんど期待せずに観てきたら・・・・・


いいね!×10

何が良いって、彼のブレない姿勢がいい。
それは、彼が根底に持っているもの。
南アフリカ共和国に白人として生まれた彼が、ちゃんとした目で見てきた世界を、ちゃんと胸の奥に持っている、その気持ちが何より作品に表れていて、それだけで涙が出てくるのだ。



画像
「エリジウム」公式サイト

<ストーリー>

2154年、荒廃した地球で過酷な労働を強いられているマックス(マット・デイモン)は、事故で致死量の放射線を浴び、余命5日と宣告され、僅かな薬を与えられただけで会社からは解雇されてしまう。
厳しい移民法で監視され、富裕層の住むスペースコロニー(エリジウム)には、どんな病も治してしまう医療機器が家庭に1台設置されているため、マックスはなんとかシャトルへの潜入を試みるが・・・・



画像
SFお決まりの富裕層の暮らし。違和感のないスペースコロニーの姿なのに、大気圏もあって宇宙にぽっかり蓋が開いている斬新さにビックリ

2154年というあと140年後の世界が、丁度良い設定でなんとも現実的。
多分、間違いなく地球に残っている大多数組だし・・・と考えると、虚しいケド。

あんなにも荒れ果てているのに、宇宙から見る地球のなんと美しいことよ。
「この地球に生まれたことを忘れないでね。」と、子供マックスに話すシスターの言葉が染みる。

画像
エリジウムではロボットが富裕層の安全を守っている

地球ではジョークを言うことも許されないほどの厳しさで、ロボットたちの圧政に締め付けられる日々。
しかしそのロボットは人間が手作業で作る。
ん?ココまできたら、ロボットが工場でロボット製造しててもよさそうだけど・・・・

しかーし!ここが重要なのだ。

画像
不法にエリジウムの住人証明書を腕にスタンプして密入国を図ろうとする地球生活者たちは、スペースコロニーを目前にして、エリジウムのロボットたちに意図も簡単にそのシャトルを打ち落とされるか、捕縛されて地球へ追い返されてしまう。

これはSFの形をとっているけれど、そのまま今の現実なのだ。

自国の圧政に苦しんで他国へのがれても、船が沈むか、やっと辿り着いたところで強制送還されてしまう。
大抵は富裕層が住む国で、その国の人たちは発展途上国の人たちから搾取して豊かな生活が成り立っている事に気付いていない。
金儲けだけのために奴隷のように人を使い捨て、ノルマと言う形の武器で部下を締め上げると、更にその部下へしわ寄せが行く現実。
弱いものだけが苦しむ姿は、そのまま先進国・世界全体の縮図でもある。


画像
エリジウム防衛省長官(ジョディー・フォスター)は、エリジウムの国境保安を監視し、同時に地球の秩序を守るCCB民間協力局も指揮するが、その手段を選ばないやりかたにイリジウムの指導者パテル総裁と対立している

彼女が何故そこまで冷徹になるのか、その訳がちょっと見えてこないのが残念。
何ヶ国語も話すジョディー・フォスターはかっこいいけど。


画像
アクションを封印したのかと思っていたマット・デイモンが、見事な肉体美とアクションを披露

もしやすっかりお肉ぶよぶよになった?と思っていたら、なんのなんの。
美しく絞られて、しっかりマッチョがあまりにキレイに割れているので、まさかCG?ってことないよね?
最近はCGが凄すぎて、何が本物か判らなくなるわ。

画像
真打登場!「第9地区」で俳優デビューで大ブレイクしたシャールト・コプリーは、CCBのクルーガーで完全に悪役☆

星飛馬の筋肉妖精ギブス・・・(あ、変換間違いするとカワイイ)・・・・筋肉養成ギブスのような機械を装着していると、「第9地区」の宇宙人化しかけた姿を思い出す。
何語で喋っているの?と思うような発音が、また不気味。

今回は完璧悪役で、手榴弾をまともに喰らった姿がかなりエグくてオイシイ☆


画像
体ボロボロでも頑張るマックス

頭部にじかに機械をネジで止めるとか、刺されたり、手榴弾で顔面なくなっても生きていたりの有り得ない設定も無理なく納得させるSF加減がまた良い☆


冒頭の一般人の不法入国者のシャトルが打ち落とされてしまうあたりから、結構涙目の私。
ラストは結果が予測できていながらも、胸が熱くなり十分に泣けてしまう。

よくあるヒーローもののように、富裕層を制圧したり破壊して結局良く考えたらテロリストじゃん、とかそういう展開にしなかった所にブロムガンプ監督の想いが生きている。

ラストで闘うエリジウムの渡り廊下に、不自然に設えられた花(桜?)の咲いた枝が、そこが偽りのパラダイスであることを強調している。
誰もが望む本当の楽園をこれから人類がどう築いていくのか、大きな課題を突きつけられた思いがした。




"「エリジウム」☆根底にあるもの" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント