「ウインターズ・ボーン」過酷な人生

葉の落ちた冬の森はどこか物哀しい。
だけど同じ冬の森でも、ノルウェーで体験した森は寒くてもどこかあったかい。
どうしようもなく殺伐としたかんじがするのは、そこがアメリカの闇だからなのか・・・




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「ウィンターズ・ボーン」公式サイト

「プレシャス」でもそうだったけど、アメリカの闇は深くて恐ろしい。
それは、どんな強いヒーローがいても、解決できないものなのか・・・・

<ストーリー>

アメリカミズーリ州南部の山間部に住む17歳のリー(ジェニファー・ローレンス)は、ドラッグディーラーの父親が懲役刑で服役して以来、幼い弟と妹と精神病を患った母の面倒をひとりでみてきた。

ある日、父親が自宅の土地を保釈金の担保にして失踪したと保安官(ギャレット・ディラハント)から聞かされたリーは、父親が出廷せずにいると家を没収されると知り、父の行方を捜し始めるのだが・・・・




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保安官の立場がちょっと判り難い・・・・

保安官が悪い奴に見えてくるけど、別に仕事をしているだけだし、とは言っても、生活のできない子供たちに救いの手を差し伸べるつもりはないの?と、思ってしまう。
福祉施設を紹介するとか・・・・

でも外国はそうなんだよね。
契約した仕事しかしない。たとえそれが、ちょっと手を伸ばせば出来る仕事でも。




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血も涙もない・・・・と思っていた叔父ティアドロップ(ジョン・ホークス)が・・・・

震え上がるような冷徹な叔父と思っていたけど・・・・
「小さいころから、あんたが怖かった・・・・」ほんの少し、心が通い始める瞬間。
静かに話すシーンは、冷たく縮んだ胸に暖かい風を送り込む。




映画の冒頭からしばらくは、淡々とした映像から、いきなりボソボソ喋るシーンを聞き逃すこと数回。
聞き逃すまいと緊張を強いる場面が長いこと続くので、大事なことを聞き逃したから、皆が不親切な訳がわからなかったの?と、ちょっと悩んじゃったり・・・

どうして誰もかれもが、まだ17歳の途方にくれてるリーに冷たく当たるのか、 映画の後半部分まで見えてこない。

なので映画のほとんどの部分を、リーと同じモヤモヤした気分で観ることになる。
実はこのあたりがこの映画の凄いところなのかもしれない。


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犬を可愛がるきょうだいが、リスを撃って飢えをしのぐ


「せーの!」でリスの皮を剥ぐシーン。
幼いきょうだいに生きるすべを教えようとする、姉の強い意志を感じる。

特別に号泣したり、激しく激怒したりする感情表現がないのに、実に多彩な感情を演じてみせるジェニファーは、さすが沢山の賞にノミネートされるだけの実力だ。



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沈めた死体を捜しに・・・・



ギャングとかチンピラとかって、都会のものだと思っていたけど、田舎のそれは都会のヤクザより恐ろしいね。
こんなやつらについていったら、リーが沈められちゃう!!(汗)と、ハラハラしちゃった。

こんな環境に生まれながらも、自分は学校にも通えず、ただ弟と妹の面倒をみるだけのために、必死になって生きていこうとするリー。







この映画が取った数々の賞やノミネートは、勿論、作品としての出来もあるけど、
実は私利私欲でしか生きていない大人たちに惑わされること無い凛としたこの『リーという少女』の姿に対して与えられたのではないかと思うのだ。



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