「ヒトラーの贋札」ゆかりの地をたずねて

ゆかりの地・・・・・と言うには抵抗のある場所、アウシュビッツ。
本当は「シンドラーのリスト」を見てから、旅に出たかったんだけど、手元にDVDがなく、今回は「ヒトラーの贋札」をチョイス。
正義と命の狭間で揺れる、極限状態の男たちの生き様を見た。




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「ヒトラーの贋札(にせさつ)」(2007年)


2007年公開のドイツ・オーストリア共同制作による映画。第80回 アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した。


偽札ではなく、贋札。
つまり贋作であるということ。
これは、一種の芸術なのだ。



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偽札作りで逮捕された腕を買われ、軍人の家族の肖像画を描いたり、壁画を描いたり・・・・腕に職を持つと強い☆



<ストーリー>

第二次世界大戦終結が近いベルリン。
パスポートや偽札の贋作師サリー(カール・マルコヴィクス)は、犯罪捜査局の捜査官ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に捕らえられる。
収容所へ送られたサリーはスケッチが気に入られ、ナチスお抱えの画家になる。

別の収容所へ移され、ヘルツォークが指揮する秘密任務「ベルンハルト作戦」に参加させられたサリーは、そこで偽ポンド紙幣を大量に作り出す。
他の収容者とは別の厚待遇と引き換えに、敵国に加担することになる作戦に抵抗を示す仲間のブルガー(アウグスト・ディール)だったが、成果を出さないと見せしめに4人銃殺すると脅かされ・・・・





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パスポートの見本用に送られてきたのは、アウシュビッツへ送られた仲間の家族のものだったと知ったブルガーは、印刷作業を拒否し・・・・



それぞれの専門職を買われて偽札作りをすることが、自らの命をつなぐ唯一の方法であっても、家族はアウシュビッツで灰となっている現実に、苦悩する姿は痛々しい。

同胞を裏切ってまで生き延びるのか、抵抗をしてむざむざと撃ち殺されるのか、辛い選択だ。




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作った偽札が認められるのは、技術者としては誇らしいし、少なくとも仲間たちは生き延びられることが決まった瞬間


銀行の審査にも無事通ってしまうほどの、素晴らしい出来栄えの贋札は、芸術家と職人の技術を認められた瞬間でもあり、同胞を裏切った証でもある。



画像アウシュビッツ収容所の門 「働けば自由になる」と書かれている

しかし自由になって外へ出る時は、既にガス室の煙突から煙になったときという皮肉さ。








画像高熱電流の流れていた鉄条網














画像サリーのような画家が残したのであろう絵


看守に足蹴にされたりと、収容所の過酷な日々が、描かれている

それにしても、冷静なタッチで書かれている何枚もの絵は、絵を描いた人が、収容者としてでなく、画家としてこの情景を記憶していたのだと思えて、何とも不思議な気分になってしまった。







劇中では収容所に入って髪を切られ、裸にされ、シャワーをかけられる時に、これがガス室なのだと思い込んで泣き叫ぶシーンがある。
事実、シャワーを怖がる収容者がいたと、ガイドブックにも載っていた。

そこがアウシュビッツでなくても恐ろしかったのだから、ましてや当時の人たちは、どんな想いで過ごしていたのか・・・・



戦後、偽札を使って女を買ったり、ルーレットで大勝ちしたりしたサリーが、結局はわざと負けて、札を使いきり、寒々とした海辺にたたずむ後姿に、その想いが凝縮されているようだった。




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