「ヒッチャー」リメイクは伝説を越えず

1986年の伝説のサスペンススリラー、ルトガー・ハウワー主演「ヒッチャー」
長いことトラウマとなっていたこの映画、私の中でも伝説となっていたわけだが、このリメイク版が2007年に公開された「ヒッチャー」である。
先日、「ノーカントリー」で、冷徹な殺人鬼に執拗に追い詰められる映画を見たら、なんとなく思い出して、手元にあるのにずっと見ていなかったのを引っ張り出して見ることに。
伝説のサスペンスのリメイクは、『リメイクはオリジナルを超えられない』という伝説を覆すことに果たしてなるのか?


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 「ヒッチャー」DVD公式サイト

「ヒッチャー」(2007年)動画


<ストーリー>

大学生のグレース(ソフィア・ブッシュ)は、恋人のジム(サガリー・ナイトン)と春休みに二人だけのドライブを楽しんでいた。
途中、夜中にハイウェイの真ん中でヒッチハイクしている男性を轢きそうになって、こわくなってそのまま走り去ってしまう。
ガソリンスタンドで休憩していると、ジョン・ライダー(ショーン・ビーン)と名乗る男が、乗せてくれと頼んできた。
しかしその男が先ほどの置き去りにした男性だと分かり、罪悪感から車に乗せると、男は急にナイフを出してきて襲い掛かってきた。
助手席から突き落として逃げ切るものの、以来行く先々で次々と残忍な殺しをしながら、二人を執拗に追いかけてくるジョン。
いったいどうしたいのか?いったい何処まで追いかけてくるのか・・・・?
ようやくたどり着いたモーテルで姿を消したジムは、遂に・・・・・




ストーリーはまんまリメイクである。
細かいところもほとんど一緒。
なのに、決定的に違うところがある。
そして、この『違うところ』が実は大きな鍵なのだ。

つまり・・・・・

ここが違ってちゃダメじゃん!なのだ。




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1986年版は、ジム(クリスチャン・トーマス・ハウエル)だけが車に乗っている。
こちらは最初からカップル。
そもそもカップルなんて、殺られちまえばいい・・・・とか、そういう気持ちがあって、怖さが半減だったわけではないのだけど~




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土砂降りの中に、ひとり佇む男
そりゃ、乗せたくないよなー



オリジナルは、気のいいお兄ちゃんが、最初から親切にヒッチハイカーを乗せてあげる。
親切にしてあげているのに、いきなり「俺は今まで何人も殺してきた・・・・」と打ち明け始める、ここ!ここ重要なのに~
今回は、乗せてあげずに真っ暗なハイウエイに置き去りにした罪悪感から、その後乗せてあげるわけだけど、それじゃあ、置き去りにされた男が、仕返しに嫌がらせをする映画になっちゃう。

違うんだよー、それじゃあ違うんだよー




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おおむね殺人の仕方も、追い詰められ方も一緒なのに、大きく違うのは、もうひとつ、この殺人鬼

「ノーカントリー」がそうだったように、『殺人鬼』が出てくる映画は、そのキャラクターに魅力があるかないかで、ただの血まみれ人殺し映画になるか、心に響いて、いつまでも心に残る(それをトラウマという?)映画になるかが決まってくる。

今回の殺人鬼はショーン・ビーン。
確かに怖そうではあるけど、普通にいい役とかできそうな。

違うんだよなー

普通に立っているだけで、「何人殺してきたんだろう?」と思わず思っちゃうような、そんなカリスマ性が感じられないと、この映画においては台無しなのだ。




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今回最後まで頑張るのは、女の子
これじゃ、完璧にトンチンカン

幸せなカップルが楽しく☆

突然殺人鬼

カーチェイスもあり

殺人いっぱい

最後は女の子が頑張って、ドッカーンと派手に


殺人鬼も普通なら、展開もこれでは今風のただのサスペンスホラーになっちゃう。
特に女の子に「人を殺すのは快感だろ?」とか聞いたりするの、ただの変態でしょー??


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1986年版「ヒッチャー」

さすが古臭いDVDジャケットだけど、怖さは半端じゃない。

なぜ、自分が追い詰められるのか、さっぱり分からない。
なぜ、執拗に追いかけてくるのに、自分だけ殺されないのか、まったく分からない。
いつまでこの殺人追跡劇は続くのか、分からない。




結末で、殺人鬼(ルトガー・ハウアー)と目で話して、そこで全てが分かる。
このラストこそが、『伝説』と言わしめる所以なのだ。

そして、肝心なラストを変えてしまったことが、伝説どおり『リメイクはオリジナルを超えられない』結果を生み出してしまったのだろう。

両方見比べる時間のない人には、是非、1986年版を見て欲しい。





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