シュールレアリズムについて考える「アンダルシアの犬」「イレイザーヘッド」「ボクシング・ヘレナ」

ねえねが眼科の予約を取る時に何故か美大で授業中に見せられたシュールレアリズム映画の話になった。
早速youtubeで探して見せてくれたのは「アンダルシアの犬」
17分という短い映画ではあるものの、インパクト大すぎてそれからシュールレアリズム祭りが始まった(笑

「アンダルシアの犬」(1928年)フランス 白黒無声映画
ルイス・ブニュエル監督 ルイス・ブニュエル&サルバドール・ダリ脚本
自転車に乗ってきて家の前で倒れた彼氏を部屋へ招き、窓の下で落ちている手首を愛おしそうにつつく女性を二人で眺める。しかし大事そうにBOXに手首を入れた彼女は自動車に轢かれてしまう。
手にいっぱいの蟻を見つめていた彼は突然発情するが拒絶する。すると彼氏は牛の死体が乗ったグランドピアノを2台必死で引っ張りだすが・・・

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たった17分なのに結末を覚えていないくらい、冒頭のカミソリで目玉をスパッと切るシーンが衝撃すぎ!
ストーリーを書く必要あった?と思える脈絡のない断片的映像で、これがシュールレアリズムってこと?と頭を抱え込んでしまう。

ダリもシャガールも好きだけど、フロイトの精神分析がいつも「性的」なものになるのが好きになれない私。
考える時間を与えず次々に出されたお題に思い浮かんだ事を言っていく、フロイト的手法で無意識下の意識を映像化したと言う事だけど、思い浮かぶことが変態過ぎ!(ちなみにこれを毎日続けて、ブニュエル監督のお弟子さんが病んで自殺してしまったのだそう)
深層心理を映像にするという斬新さが当時「芸術」として称賛されたのは判らないでもないけれど・・・

「イレイザーヘッド」Eraserhead(1976年)アメリカ 白黒映画
デビットリンチ監督
ヘンリーは突然恋人の家に招待され、予期せぬ妊娠をしたことを告げられ家族一同から結婚を迫られる。
結婚したものの夜な夜な泣く奇形の赤ちゃんに疲れ果て、妻は実家へ帰ってしまう。
一人出掛けることも出来ず面倒を見るうちに、奇怪な幻想の世界へ入り込んでいくヘンリー。思い悩んだヘンリーはハサミを胎児に突き立てるのだった。

イレイザーヘッド.jpg
B級ホラーなのだと思い込んでいてずっと見てなかった作品。
冒頭の皮膚病の男がガシャコーンとレバーを引くとびよーんと巨大な蛇のお化けみたいなの(精子)が飛び出したり、スチームの奥のブルドック頬の美女が降ってくる精子をブチュっと踏みつぶしたり、アパートの隣人の美女といい感じになったあと寝床から引っ張り出した精子を壁にぶち投げるなど、見ているときは訳が分からず不気味なだけだったけど、落ち着いて考えるとデビットリンチが21歳の若さで望まないのに子供が出来てしまった衝撃(後悔)をそのまま映像にしたのだと納得。イレイザーヘッドはヘアスタイルでも何でもなく「私の頭の中の消しゴム」ならぬリンチの「頭の中の消しゴムで消したい記憶」そのものなのでしょう。
そう思って見ると「アンダルシアの犬」より余程分かり易くて、素直すぎる独白に、成長した娘さんがこれを観た時いったいどう思ったのか気になってくる。

シュールと言えば「有り得ない事」というイメージがあるけど、フロイトやダリやピカソからすると『シュールレアリズム』とは「すごく現実的な事」=今風に言って「超リアルぅ~」な事なのだそう。
要するに無意識下の意識は「意識せずに想起された無意識の真実」なのであって、それが人間の本質なのだとしたら、なお一層デビット・リンチの娘さんが気の毒で仕方なくなってくるのだった。


さて、この他に配信で見られるシュールレアリズム作品が無かったのと、もうお腹いっぱいな感じになったので、デビット・リンチの愛娘ジェニファー・チェンバース・リンチの監督デビュー作品をご紹介。

「ボクシング・ヘレナ」(1993年) アメリカ
豪邸に住む医師のニック(ジュリアン・サンズ)はバーで再会した美女ヘレナ(シェリリン・フェン)に心を奪われ、恋人の事もそっちのけで彼女の事ばかり考えていた。豪邸のお披露目会を開きヘレナを招待するも、足蹴にされるニック。彼女が忘れていったバックで釣って屋敷に連れてくるが、怒ったヘレナは家を飛び出し車に轢かれてしまう。
ニックはヘレナの両足を切断し自宅に監禁するが、ヘレナはなかなか心を開かない。遂には逃げようとするヘレナの両腕も切り落とし、自分がいなければ生きていけない状態にするのだが・・・
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親子そろって変態映画を作るなんて!

「イレイザーヘッド」で、生まれたばかりの娘をを手足もない化け物のようなものとして描いたデビット・リンチ。のちに監督となった娘はデビュー作で、父の恋人で「ツインピークス」にも出演したシェリリン・フェンを主役に抜擢し、母の愛を得られなかった男によって四肢を切られる美女の役をさせることで復習を果たしたのだそう。
それを知ってちょっぴり安心☆
今では娘の作品にも出演して「何でも言うとおりにする。」と言っているらしいリンチ監督。若気の至りで当時娘を愛せなかった男も今は大人になったし、娘もそれを許せて仲良くしているのならシュールレアリズムも悪くないかな☆


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この記事へのコメント

ごみつ
2021年04月15日 21:27
こんばんは。

今回の記事、私が最近気になっていた作品とバッティングしててビックリしちゃいました。

ちょっと前に、ジャン・コクトーの「オルフェ」をアマプラで鑑賞したのですが、素晴らしくて、それからこの時代の前衛的な作品が気になってたんですよね。
コクトー自身はシュールレアリストではないけれど、同じ同時代の雰囲気を感じます。

「アンダルシアの犬」もですが、ブニュエルの映画は未見なのでこっちもチャレンジしてみたいです。

それとデビッド・リンチ! これまた最近、大好きなデザイナー、映画ライターの高橋ヨシキさんの「デビッド・リンチを語る」みたいなYoutubeをきいたばかりだったのです。

そこで聴いた「ツイン・ピークス」の続編シリーズが凄く見たくなって、今度旧シリーズとともにレンタルしようかな~って思ってます。

「イレイザー・ヘッド」は新宿の大きな映画館のレイトショーで見ました。大劇場なのにお客さんが少なくて、いやはやダメージくらいました。(笑)
もう、大好きなシーン、てんこもりです。

娘さんの「ボクシング・ヘレナ」もいずれ見てみます~~。(*´ω`)
ノルウェーまだ~む
2021年04月16日 10:29
>ごみつさん
>
この記事はマニアックすぎてアクセス数も少ないし凹んでいたところでしたが、ごみつさんならきっと反応してくださると思ってました!!ありがとうございます~
「オルフェ」良さそうですね?早速見てみよう~♬

「ツインピークス」は実は全巻LDを持っているほど当時からのファンなのですが(肝心のプレイヤーを処分してしまったので見れないけど)続編をすっかり見逃しちゃってました!
今はWOWOWじゃないと見れないみたいで…続編を何とかして見たいデス!

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