映画『俺きみ・・・」は誰のための映画か?

病院の予約も午後に入っていたし、なんとなくグダグダ・・・のねえね。
今日は映画1000円の日だし、どうせ早引きしなくてはいけないんだから、学校サボって映画行っちゃう?先生には内緒ね・・・・・・

悪い母です~


さて、何観る?

ねえねの希望は「ゲゲゲの鬼太郎」か「俺は、君のためにこそ死ににいく」
鬼太郎は試写会で観ちゃったし、私は乗り気じゃなかったけど、間をとって(?)「俺きみ」に行くことにした。

ねえねは、実は戦争映画マニア。
戦いとか血まみれとかが好きなのではなく、軍服フェチなのだ。
軍服というか、制服?

「働く男の制服図鑑」とか家にあるし・・・・・

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「俺は、君のためにこそ死ににいく」 公式サイト

製作・総指揮と脚本は、いわずと知れた石原都知事である。

ストーリーは、あえて語ることもない。
日本のために、若い命を散らして逝った特攻部隊の青年たちと、彼らを親以上の愛情を持って見守る、富屋食堂のおかみ‘鳥澤トメさん‘との心の交流の話だ。

トメさんはすばらしい人だ。
これから帰らぬ旅に旅立つ若者たちのために、食糧難の時代の食堂で、自分の着物を売ったお金で、卵丼を食べさせてくれたりする。

最後に親に会うこともかなわず、飛行機に乗り込んでいく彼らのために、家族への手紙を代筆して発送してあげたりする。

当時、特攻で飛行機ごと体当たりする作戦は、極秘事項になっていたからか、この手紙を郵便局へ持っていくのを見咎められ、憲兵に捕まってしまうトメさん。(無知の私は、ここで何で警察に捕まるのかよくわからなかった。)

「おぬし、検閲があるのを知ってて出したんかぁあああああ!?」
と、おばさんを容赦なく殴る蹴る憲兵たち。
トメさんを慕う、特攻の青年たちの助けで、なんとか釈放されるが
「これから死ににいく特攻の青年たちにも、門限やら検閲やらって、おかしいでしょ??」と尚もくいさがるトメさん。

こんないい人って・・・・・


実際、石原氏はこの鳥澤トメさんから、直接『特攻部隊』の話を聞いて、感銘を受け、この脚本を書いたわけで、視点はトメさんから見た特攻隊の青年たち・・・ということになっている。

画像


そんなわけで、数多く出てくる有名俳優たちの、いったい誰が主役なのか、分からない。
っていうか、主役はないのだろうけど、それにしては勿体無いくらいの配役だ。

その上、それぞれのストーリーが浅くて、「俺は、君のためにこそ死ににいく」の‘君‘が見えてこない。

板東少尉(窪塚洋介)は、長男である自分が特攻に志願したことが申し訳なくて、親に話せずにいる。
まだ幼い弟も、「にいちゃん行かないで!」とさめざめと泣くのであった。

「先に逝った仲間のためにも、早く俺も行かなくては・・・・靖国神社の2番目の桜の木の下で待ってるんだ。」
が、飛行機のエンジントラブルなどで、基地に戻ってきてしまう。
最終的には体当たり直前で、飛行機ごと墜落、南の島で生き延びるのだが、探しにきた家族とも会うことができず、そっと木陰から見ているだけだ。

ん?じゃあ死んだ仲間のために死ぬつもりだったの?


どの青年のエピソードも、全て淡々と描かれていて、記録映画のようなかんじだ。
脚色を加えずに、トメさんの記憶を忠実に再現することによって、真実味を出しているのかもしれない。
訓練風景も遠景が多く、ひとりひとりをクローズアップしないのが、よけい心の奥に踏み込んでこない物足りなさになっている。


クレヨンしんちゃんでも、セーラームーンでも泣いてしまった私。
この私が泣けなかった。

トメさんも途中あまり登場しないし、いったい誰の視点で観たらいいのか?
それぞれのドラマが浅くて、感情移入しにくい。

唯一、蛍になって戻ってくると約束した青年が、特攻に出た翌日、本当に庭に蛍となってやってくるくだりでは、おもいっきり泣いてしまった・・・・



確かに、お国のために散っていった若者たちがいたことは、悲しい現実であるとともに、他人のために命をなげうってくれるすばらしい人たちがいたことは、忘れてはならない歴史の1つだ。

すごいよね。
偉いよね。

しかし、繰り返し言われちゃうと、ちょっと興ざめしてくる。
すごい!とか、可哀相!とか、ひどい!とかの感情は、観ている人が、自然と感じるものじゃないの?

淡々と記録映画のようなつくりなのに、感想だけは押し付けられる。
へそが曲がっている私には、どうしても(っていうか反対に)素直な感情が持てなくなってしまった。

しかも、特攻部隊の青年たちを讃えていながら、特攻の生みの親、大西龍次郎(伊武雅刀)が苦渋の決断だったことや、最後に責任を取って介錯なしの壮絶な切腹をしたシーンは、遺族への配慮なのか、やたら「仕方なかったんだ・・・」みたいな言い訳をしているようにも思える。




劇場のみなさんは、やはり年配の人が多かったこともあって、あちこちですすり泣きが聞こえてきた。
どうやら、へそが曲がっていたのは私だけ(ちなみにねえねも)だったようだ。



どうしても石原慎太郎がちらつく。
万が一にも、彼が総理大臣になった暁には、靖国神社公式参拝を第一の目標としそうだ。

トメさんを讃えたいのか、特攻隊の若者を讃えたいのか。
淡々としているのに、やtらドラマチックな題名に、若い命をなげうった特攻隊の魂が、汚されることのないように祈りたい。




この記事へのコメント

2007年06月06日 04:53
ねえねさんは、軍服フェチ。私も好きです。なんの理由があろうとも、戦争はいけない!し、経験者の気持ちを逆なでしたくないので、大声でいえないけど、軍服かっこいい(笑)そういや、中学生の頃読んでいた某雑誌での制服特集で、ナチス親衛隊の制服は、かっこいいことを主眼に置きすぎて、ブーツが自分で脱げなかった(ぴたぴた過ぎて。)なんてお間抜けなエピソードが載ってました。

そして大嫌いなのは石原氏。げー、この映画、製作・総指揮と脚本、石原だったのかー!知らなかったー。「なかなか言えないことをはっきり言う人だからいい」という意見も聞くけど、ありゃただの暴言だと常々思っております。
それにしても、日本がなんだか軍国気分になってきているようで、ほんと怖い。

だけど、学校サボって映画に誘うママと子供・・・なんてステキなご家庭が多ければ、まだ日本も大丈夫!とか思うのでした。
ノルウェーまだ~む
2007年06月06日 11:17
いやはや、厳しかった私の親からは、考えられないような甘さ…ま、これにも色々事情があるのですが…
映画なら私も好きだから、いっか~ってかんじで。
こっそりゲーセン行かれるよりいいでしょ?(そんな元気もない子だし)
来週は、りょうたが移動教室でお泊りだから、二人でレイトショーに行くつもり~
BROOK
2007年06月06日 16:58
コメントとTB、ありがとうございました。

戦闘シーンはたしかに見応えがありましたね。
アメリカ軍のシーンは、フィリピンに現存している軍艦を使用したらしいです。
あとは、上手く特撮してましたね♪

靖国神社には行ったことがないのですが、
いつかは行ってみたいと思っています。
2007年06月06日 18:35
>クレヨンしんちゃんでも、セーラームーンでも泣いてしまった私。
同じく!(爆)この作品では泣けませんね。

何故死ににいくのか?
それが当たり前だと勘違いしてしまうほど、恐怖にまみれていたか、何も考えていなかったかのどちらでしょうね。
それだけ戦争は人間を蝕むということでは?

ノルウェーまだ~む
2007年06月06日 22:49
BROOKさま、ようこそ!
フィリピンにある軍艦を使ったのですか?知りませんでした。
アメリカ軍の戦闘機もいっぱい出ていましたよね?
靖国神社は、映画のような桜の季節がものすごくきれいですが、人出もものすごくて、とても駅から桜までたどり着くことができません。お覚悟を。
ノルウェーまだ^~む
2007年06月06日 22:52
たいむ様、いつもありがとうございます。
実際は、命令で嫌といえず特攻隊員として旅立っていったというのが、よく分かる映画でしたが、そうなると余計に若者たちにとっては、拷問のようなことだったわけで、胸が苦しくなりますね。
洗脳されていたという部分もありますが、いずれにしても悲しい現実です。
2007年06月07日 00:20
こんばんは。
やはりtbが入らないみたいで・・どうもすみません。
まあ良くも悪くも石原氏がやりたいことを全部突っ込んでしまったという作品でした。
映画としては視点がとっちらかって非常に観難いですね。
半分追悼で半分イデオロギーという印象でした。
2007年06月07日 07:45
ノルウェーまだ~むさん、
コメ&トラバアリガトでした。
『オレ君』は、いいネーミングですね。
そう言えば『セカチュー』の頃から
短縮するのが流行りですよね。
『いまあい』『ハチクロ』もそうでした。
でも『サイドカーに犬』は難しい。
『ヨコ犬』じゃあ変だ!!
ノルウェーまだ~む
2007年06月07日 14:48
ノラネコさま、またTB駄目だったようですね。残念です。ガクッ…
ホントに視点が曖昧で、何もかも中途半端な映画になっていて、どんな映画でもいいところを見つけて誉めたいタイプの私でも、ちょっとそれが出来ませんでしたね。
ノルウェーまだ~む
2007年06月07日 14:50
TATSUTAさま、いつもありがとうございます。
「おれきみ」いいでしょ?(自慢げ)
『ヨコ犬』もなかなかですよ。「サイ犬」じゃあ、サイなのか犬なのかわからないですものね。

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