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zoom RSS 「万引き家族」☆ハッピーでもバッドでもない是枝エンド

<<   作成日時 : 2018/06/15 00:14   >>

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確かに是枝作品である。
ハッピーエンドにはならない、かと言ってバッドエンドでもない。深く深く掘り下げてから、穴を塞がないままそっと立ち去ってしまう。
まさにそれが是枝エンドの見事さなのである。


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万引き家族 公式サイト

<ストーリー>

治(リリー・フランキー)は祥太(城桧吏)といつもの万引きをした帰り、寒い夜のベランダで独りぼっちの少女を拾ってくる。子供の身体にある傷を見て、一緒に家族として暮らすことを決めた彼らは、初枝(樹木希林)の家で肩を寄せ合って笑いの絶えない日々を過ごしていた。
ある日怪我をして現場から帰ってきた治だったが、労災は下りず、ついには信代(安藤サクラ)もクリーニング店をリストラされる。
少女の捜索願が出されたことを知ったが、リンと名前を変え少女は家族と暮らす道を選ぶ。祥太は少しずつ万引きを教えていくが、いつもの駄菓子屋でリンが初めて万引きをした日、そこの主人に諭された祥太は、家族の家業に疑問を抱き始め、ついに・・・


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子供に万引きをさせるシーンは正直眉をひそめるものだったけれど、家族の様子をみるにつけ何故かこの家族を応援したくなってくる

実際に子供に万引きさせていたという事件があった。
シェルターに逃げたり様々な理由で戸籍が無いまま育った…という人も実際に居る。
親の年金だけで生活し、亡くなった後も床下に埋めて年金を搾取していたという事件も記憶に新しい。

様々な事件を一挙に引き受けたような、社会問題のデパートのような家族だけれど、それは全くの絵空事ではないと言う現実。

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樹木希林が入れ歯を取って、よぼよぼ感を存分に出しながらも、他の役者を喰わない範囲で素晴らしい演技をしている☆

唯一、親戚関係にある初枝(樹木希林)と亜紀(松岡茉優)。
どういった経緯でJKの亜紀が自分のおじいちゃんの元の奥さんのところへ転がり込んできたのかなど、それぞれの過去や事情は明かされるようでいて、最後まではっきりとはさせない。

この知りたいけどハッキリさせないのは、是枝監督作品ならではでもあり、映画がドキュメンタリーでもあるかのような真実味を持たせて、あなたの隣の家で起きていることとして捉える事に一役買っている。

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先日起きたばかりの痛ましい事件を彷彿とさせる

誘拐した(=ベランダから救出した)ゆり(のちにリン)は、同じく虐待されている母からはネグレクトを受けているけれど、決して愛されていない訳ではないというのがミソ。
ゆりは他人に対する気遣いが出来る少女で、それは親からちゃんと愛情を受けている証拠だと作中でも話しているように、物を買い与える事でしか愛情を示せないけど不器用な若い未熟な母の姿がそこにある。

「そして父になる」やこの作品の亜紀の両親がそうだったように、『子供を愛する』とはどういうことか?という多くの家族が抱えるテーマこそが、是枝作品の不変的命題なのだ。

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むぎゅ〜〜〜っと抱きしめて欲しい
社会の規範に捉われない生き方は自由で気ままで、人の目を気にせず(万引きの時以外)いい加減だけど温かくて楽しい。
社会の模範となるべき生き方は、子供をまっとうに育てようとするあまり窮屈で厳しく、ちゃんと子供を愛しているのに愛情は伝わりにくい。
この二つの対立が必ず描かれる是枝作品。どちらも正しくもあり間違ってもいる。

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安藤サクラの取調室の演技は見事と言うしかない!!

ここからはちょっと不粋な話になるけれど、是非知ってもらいたいことがある。
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セカンドハーベストジャパン 公式HP
実は私が毎週1回ボランティアとして参加している団体が、この2hj(セカンドハーベスト)という日本初のフードバンクなのだ。
まさにこうした行政の隙間からこぼれ落ちた人たちが万引きなどをしなくても済むように、企業の食品ロスの問題とを繋ぐ活動をしているというわけ。

ひとり親世帯、生活保護の申請が通るまで(3か月くらいかかる)の間の援助、難民や職を得られない外国人、孤児院や障害者支援施設、貧しい子供の無料塾、シェルター、ホームレス炊き出し団体などに、賞味期限が数か月に迫ったり規格外や期間限定商品の売れ残りなど廃棄する運命の食品を再配布しているのである。

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最近とてもショックなことがあった。
久しぶりに会ったママ友に「何で時給も出ないのにボランティアなんてするのぉ〜?」と本当に嫌そうに聞かれたのだ。彼女は商社マンの奥様である。
ボランティアを褒めて欲しいわけではない。寄付を強要したこともない。
なのに最近は2hjについて話すことすらはばかられる雰囲気になることが多い。震災の頃は皆あれほど熱に浮かされたようにボランティアを叫んでいたのに…

この物語の最後は哀しいかな、偽りであっても家族の絆が引き裂かれた形で終わってしまう。
社会的には正しいところへ帰って行った彼らは、果たして幸せになったのか?

こんな人たちはほんの一握りの貧乏人だとのたまう、ヘリコプターに乗って「YES!〇〇〇クリニック!」と叫ぶあの人のように、多くの人の無関心から『埋もれてしまう事』の虚しさを是枝エンドで表したのではないか?私にはそう思えてならない。



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万引き家族
「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。2018年・第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した。息子とともに万引きを繰り返す父親・治にリリー・フランキー、初枝役に樹木希林と是枝組常連のキャストに加え、信江役の安藤サクラ、信江の妹・亜紀役の松岡茉優らが是枝作品に初参加した。あらすじ:東京の下町。... ...続きを見る
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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
>どういった経緯でJKの亜紀が自分のおじいちゃんの元の奥さんのところへ転がり込んできたのか

そう、その辺は描かれませんでしたね。
亜紀にとっては初枝は祖父の先妻、普通だったら殆ど関わりを持たないような間柄ですものね。
初枝と治夫婦の関係も曖昧でしたし。
是枝監督にとっては重要なことではなかったのでしょうね。

ボランティアを長くされているまだ〜むさんには頭が下がります。
私も長くしていましたが、趣味の延長のようなものですので。
お身体に気を付けて頑張ってくださいね。
zooey
URL
2018/06/15 11:47
zooeyさん☆
細かいディティールをあえて描かないところが、きっとリアリティなんだと思いました。
きっとあの家族も互いのことを深く詮索せずに一緒に暮らしているのでしょうね。
そういうところがきっと居心地の良さに繋がっているのかもしれません。

ボランティアは木曜の担当が私一人なので、辞めるどころか休むこともままならない状態になってしまって(苦笑)でも誰かの役に立てれば…と思い地味に続けております。多くの方が少しでも関心を持ってくれたらいいな☆と思います。
ノルウェーまだ〜む
2018/06/16 00:25
細かいディティールを描くことは、是枝作品にとっては、ある意味「野暮」なのかも知れませんね。
個人的にはそういう「野暮」は好きです。

家族って、そもそも夫婦が他人同士なのですから、血の繋がりよりも心の繋がりでスタートするもの。
家族にとって本当に大事なものは?という言葉にしない問いにカンヌ国際映画祭がパルムドール受賞で答えを出したのかも知れませんね。
にゃむばなな
URL
2018/06/16 00:29
にゃむばななさん☆
まさに仰る通りですね!
血の繋がらない同士で夫婦になって絆を深めて行くのが家族ならば、絆の深いものが繋がって家族になっても良いのでしょう☆
そして是枝監督がハッキリとした答えをあえて出さず、投げかけた問いに、しっかりパルムドールが答えてくれましたね!

私も監督の「野暮」好きです!
ノルウェーまだ〜む
2018/06/16 00:50
まだ〜むさん、こちらにも。
本作、まだ見ていませんが、2年前にパルムドールをとった「私は、ダニエル・ブレイク」にも通じるように思いました。
カンヌの授賞式の時に聞いた”見えない人々”ということばが心に残っています。
ふだん恵まれた生活をしている私たちは気がつかないけれど、こうした事件が起こって初めて、困難の中にいる人たちが身近にいることを知って愕然とすることがありますね。
事件の上辺だけを見れば紛れもない犯罪だけど、そこに至るまでには相応の理由があり...そこに思いが至らなければ社会は変わらないと思います。
弱者を自己責任と切り捨てる今の風潮には危機感を覚えます。
まだ〜むさんのセカンドハーベストのことも思い出しましたよ。いつかお話を聞かせてくださいね。
セレンディピティ
URL
2018/06/18 01:17

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